職人の道具箱。15cmのノミが物語る伝承の技。

親方から受け継いだという20年前の“ノミ”。このノミに込められた、職人の心意気とは。
時代とともに変わってきた大工の仕事やリフォームの難しさについて大船住研のベテラン職人、三輪宗男が語ってくれた。

親方にもらったタタキノミと、変わりゆく大工の世界。

大工になりたい、と思ったとき、まずは親方のもとで修行する。それは今も昔も変わらないことだ。昔と今で違うのは、当時はネットなど自分で情報を得る手段がほとんどなく、技術を得るためには親方の技を学ぶしかなかった。

学ぶと言っても、親方が「こうやってみろ」と手取り足取り教えることはなかったから、親方のやることを見て盗んで真似して、ひとつひとつできるようになるしかなかった。

三輪も30年ほど前に親方のもとに弟子入り。こづかい程度の収入で、でも自分が好きでやりたいと思った仕事だから辛くはなかった。黙々と仕事をする親方の、大きな背中を追い続けた。まだ設計士や営業という職種が一般的ではなく、施主と話をするのも設計図を描くのも大工、“家を建てるといえば大工”だった。三輪が大工を目指したのも、幼い頃に自宅をリフォームしてくれた職人の姿に憧れたからだ。

弟子入りから6年、やっと一人でも自信を持って仕事ができるようになった。独立しよう。そう決心し、お世話になった親方に挨拶にいく。「そうか。」とだけ言った親方が差し出したのがこのノミだ。親方が毎日使っていたタタキノミ。褒めるなんてことはしない寡黙な親方から、認められた証のようだった。

親方のノミを、三輪は今も大切に使い続けている。使っては研ぎ、使っては研ぎ。はじめは20cm以上あったノミが20年使い続けて、今や15cm程になった。

20年の月日とともに、大工の仕事も様変わりし、こういった手道具を頻繁に使う職人はほとんどいなくなった。大工仕事のイメージも昔とはちがってきた。それでも、このノミを触るたびに、親方から学んだ技術と大工の心意気は今も昔も変わらないものだと確信する。

“同業に見られても胸を張れる仕事”をする。

大工たるもの、信頼してまかせてくれる施主様に恥じぬよう、自信を持ってやる。これは、三輪がいつも肝に銘じていることだ。自信を持てるだけの技術と経験があってこそ言えることでもある。

しかし、実際にどんな仕事をしているかはお施主様にはなかなか分からない。見た目をキレイにすることなんてあたりまえで、ほとんどの施工は壁でふたをしてしまうからだ。

多くの家は一度建てて終わりではなく、住んでいる間に何度かリフォームをする。リフォームをするために、壁を開ける。そのときにはじめて、その家を建てた職人のやり方が丸裸になるのだ。木屑までキレイに掃除されていることもあれば、悲しいことにゴミがそのまま残っていることもある。閉じてしまえば分からない、施主様が見ることはない場所だ。

自分が建てた家も、きっと自分ではない誰かが手を加える日がくる。先人の仕事を見るたびに、施主様だけでなく同業の人間に対しても、胸を張れる仕事をしたいと、三輪は思う。

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