見えない“ひと手間”へのこだわり。本当にいい仕事とは?

“大工である父の姿を間近で見ていて、自分もなろうと思ったんです” そう語るのは大船住研の大工、飯田知己だ。いくら営業が素敵な設計図をつくっても、実際に家を建てるのは大工だということを、あまり意識しないお施主様も多いのではないだろうか。大工が思う、家づくりの難しさやこだわりについて聞いた。

“いい仕事”を犠牲にして、早く仕上げることはできない。

家を建てるお客様にとって、大工の家づくりを見る機会はあまり多くない。たとえ見たとしても、“今何をしているのか”というところまでは分からないだろう。となると、仕事ぶりを判断できる材料は「仕事の速さ」と「実際に完成した家」くらいかもしれない。

しかし「仕事が早い=いい仕事」と一概には判断できないと飯田は言う。プロとしては納期の中で仕上げるのも、確かに大切なこと。でも、本当にいい仕事かどうかは、完成した後には見ることのできない“家の裏側”に詰まっているというのだ。いい仕事を犠牲にして早い仕事をしても、なんの意味もない。見えないところにかける“ひと手間”こそ、職人だから分かる本当のこだわりだ。

では大工の“ひと手間”とは何なのか?
例えば、ささくれ立たないように木材の角に少しだけカンナをかけること。よく歩く廊下や階段の下にはクッション材を多く入れる。断熱材を壁に詰めるときはすきまがないよう、丁寧に詰めること。断熱材の詰め方なんて、家が建った後には見ることができない。詰め方ひとつで断熱効果が変わるということを気にする人も少ないだろう。
最終的には隠れてしまって見えない、時間はかかるけれど、お施主様には分かってもらいにくい部分。こういったところに飯田がひと手間もふた手間もかけるのは、この家に住む家族の生活を考えているからだ。

お客様と直接話をしている「営業兼現場監督」の人間が頻繁に現場に顔を出すことも、大工にとってお客様の存在をより近くに感じられる理由かもしれない。

昔ながらの手道具と最新の機械工具。

今の時代、昔のようにゲンノウやノコギリやカンナを頻繁に使う職人は少ない。しかし飯田は、昔ながらの道具を今も大切にしている。もちろん、早くて正確な機械工具も用途によっては必要なものだ。手入れが必要な手道具に比べて、機械工具はほとんど手入れをしなくてもパーツごとに交換できるメリットもある。 新しい工具を活用する一方で、昔ながらの道具を使うべきときも絶対にあると飯田は言う。

ーーゲンノウ
例えばゲンノウ(金づち)。用途によって形がちがうのをご存知だろうか。頭が重くて力が入りやすいノミ打ち用のゲンノウ。くぎ抜きと金づちが併用できるゲンノウ。平面と凸面が組み合わさった仕上げ用のゲンノウ。それぞれの形に意味がある。

ーーノコギリ
ノコギリの刃はギザギザの部分がたがいちがいになっていて、刃の厚さよりも少し広く切れるようになっている。この少しの隙間があることで、摩擦が軽減されて、早く切ることができるのだ。両刃のノコは、木目に沿って切るための荒い縦引きと、木目に対して垂直に切るための細かい横引きになっている。

ーーカンナ
カンナだけでも数十種以上ある。平面をつるつるに仕上げるカンナ。ベニヤの木口を仕上げるためのカンナ。木材の角を削るカンナ。直角の際を削るカンナ。小さな小さなカンナ。そして、カンナの台座の手入れに使う台直しカンナまで。木の種類や用途によって使い分けている。

さまざまな場面で“もっと仕上がりをよくするためには?”と追究していった結果、こんなにも数が増えた。これらは、飯田が持つ道具のごくごく一部だ。「手道具にとくにこだわっている訳ではないけれど、やはり手作業で行う大工の仕事に愛着がありますね。なにより、道具を扱う大工の姿はかっこいいと思いませんか?」と飯田は語る。

一昔前なら、親方の技術を見て学ぶしかなかったが、情報が発達した現在ではネットで調べたり、勉強会に足を運んだり、その気になればいくらでも技術を学ぶことができる。にもかかわらず、効率化優先の家づくりが加速度的に普及し、手道具を使う職人が減っているのだ。昔は下っ端の仕事だった“カンナがけ”を、今はできること自体がステータスのようになっている。

飯田が、新しい技術を取り入れながら、かつ伝統的な技術も大切にしているのは、父から受け継いだ仕事に誇りを持ち、そして何よりも、家づくりが好きでたまらないからではないだろうか。もし自分が家を建てるなら、こんな職人に建ててほしいと思う。

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